株式会社Travel DX(本社:東京都千代田区、代表取締役:五石 順一 以下、Travel DX)は、VR*旅行に関するアンケート調査を実施した。この結果を、同社プレスリリースから引用して共有したい。旅行業界以外の企業にとっても参考になる部分が多く、メタバース参入のヒントにしたい。
VR
「Virtual Reality」の略。仮想現実の意味。専用のゴーグルを着用するなどし、周囲360度の映像によって、実際にその場に居るような体験を得られる技術。
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1.VR旅行とは
「Virtual Reality」技術を用いた仮想旅行のこと。自宅などに居ながら、日本各地、世界各国への旅行を体験できる。周囲360度が撮影された観光地など、まるでそこに自分が立って見回しているような没入感を得られる。
特に昨今、現実世界での旅行は自粛ムードであるコロナ禍において、人気が高まっている。
今回アンケート調査を行ったTravel DXも、VR旅行の開発及び販売を行っている。サービスサイトは「どこでもドアTrip」、親会社は株式会社メタリアル。
※2021年10月に「VR Trip」から「どこでもドア」にサービス名称を変更した。
「どこでもドアTrip」は、VR旅行の活用方法として次を挙げている。
- はなれた家族や友人・恋人と一緒にツアー
- 会社の外の人とおしゃべり!ストレス発散にも
- ともだちと一緒に修学旅行気分
- 旅行をあきらめていた高齢の方に
- 歴史に触れる・歴史を学ぶ
- 外国語を学ぶ
2.アンケート調査の結果(概要)
まずは、結果の概要。項目ごとの回答詳細は後述。
- VRの魅力を最大限に味わえる「VRゴーグル」所有者はまだ1割程度。VRゴーグル所有者は「ゲーム」しか経験がない方が大半。
- 体験してみたいVRコンテンツは「映画」33.7%、「旅行」33.0%、「ゲーム」30.3%という順に。体験してみたいコンテンツでも「旅行」は第2位にランクイン。「VR旅行」は今後注目のVRコンテンツと言える。
- VRを利用する機会はどの年代でも約半数が「増えると思う」と回答。
- 新型コロナウイルスの影響もあり、旅行に関しては「控えている」82.9%。しかし、「コロナが治まったら国内旅行に行きたい」と83.3%が回答。
- VR旅行のメリットだと思うことは、「好きな時間に旅行できる」が51.0%で第1位。次いで、「天候に左右されない」50.7%、「危ないところにも行ける」43.5%と続く。
- VR旅行に行ってみたいと思うと回答した人は54.2%と半数を超える結果に。とくにVRゴーグル保有者は80.0%と高い。
- VR旅行が流行ると思うかと53.2%が回答。若年層だけではなく40代~60代まですべての年代で半数を超える結果となった。
- VR旅行で行ってみたい国第1位は「アメリカ」となり、576票。次いで、「イタリア」532票、「フランス」452票。
- 「どこでもドア Trip」のツアーで「行ってみたい!」と回答した方が最も多いのは「アルプス山脈などをめぐる世界絶景ツアー」となり、682票。
3.アンケート調査の方法
- 調査の方法:WEB アンケート方式(サンプル調査・割付法)
- 調査の対象:旅行をしたことのある全国の20~60代の男女
- 有効回答数:1500名
各年代均等割付(各300 名)
VR ゴーグル保有者300名、非所有者1200名 - 調査実施日:2021年1月19日(水)~1月20日(木)
4.アンケート調査の結果(詳細)
ここからは各項目の詳細を見ていく。
なお、最初の2つの質問は「スクリーニング(SC)」だ。スクリーニング質問とは「有効回答(者)を選別するための質問」のこと。有効回答を選別することで、アンケート調査や各質問の前提条件から外れる回答を除外することができる。
SC1:「VR」を知っていますか?
※単数回答(n=3658)
VRの認知は計78.9%と高く、ほとんどの人が「知っている」状態。20代~60代までのすべての年代で7割を超える結果になったり。一方で、「利用したことがある」人は14.9%と低く、最も多いのは20代で21.8%。認知は高いものの、実際に利用したことがあるという人はまだまだ少ない。
SC2:VR用のゴーグルを所有していますか?
※単数回答(n=2887)
所有者は全体ではまだ1割未満の9.7%。しかし、20代、30代では1割を超える結果となっている。
Q1:体験したことのあるVRのコンテンツは?
※複数回答(n=311)
「VRを利用したことがある人」が体験したことのあるコンテンツは、「ゲーム」65.0%、「旅行」28.6%、「映画」28.6%という順になった。VRゴーグル所有者は「ゲーム」の経験が69.9%と半数を超える結果となり、VRゴーグルを購入したきっかけが「ゲーム」という人が多いことがわかる。また、「旅行」が「映画」と並んで第2位にランクインしていることにも注目したい。
Q2:体験してみたいVRのコンテンツは?
※複数回答(n=1500)
体験してみたいVRコンテンツは「映画」33.7%、「旅行」33.0%、「ゲーム」30.3%という順になった。体験したことのあるVRコンテンツで第1位となった「ゲーム」は体験してみたいVRコンテンツでは第3位となり、ゲーム層だけでなく、一般層の需要も高まっていると考えられる。そして、やはり、「旅行」や「映画」がその一因を担っていると言える結果だ。
Q3:VRを利用する機会は今後どのように変化すると思うか?
単数回答(n=1500)
どの年代でも約半数が「VRを利用する機会は増えると思う」と回答した。特に、60代の58.0%が「増えると思う」と回答していて、定年後の余暇を仮想世界で過ごす人が増える可能性を示唆している。
Q4:VRを利用して「できたらいいな」と思うことは?
- 海の中や火山噴火口の中、宇宙等の探索を体験してみたい(42歳女性)
- バンジージャンプやジェットコースターのVRを自宅で楽しんでみたい(28歳女性)
- スカイダイビングなどの普通では怖くてできないような体験をしてみたい(36歳男性)
- 人間が入れない場所の様子を見てみたい(54歳男性)
- 自身のアバターで、世界旅行をして、世界中の人と交流したい(62歳男性)
- VRで登山と風景を見る体験をしたい(47歳女性)
- 施設にいるおじいちゃんとおばあちゃんとVRで子どもたちと会食したい(46歳女性)
- 好きなアーティストのライブを間近で見て、ハイタッチをしたい(29歳女性)
- バーチャル帰省。なかなか帰省できないので、VRで会話したい(49歳女性)
- スポーツ中継をフィールド内で見ているような観戦をしてみたい(64歳男性)
- 婚活パーティーや趣味のオフ会に参加してみたい(30歳男性)
※自由回答(n=1500)
体力、費用、コロナ禍など理由は様々だが、「現実世界では実現できないこと」をVR体験に求める回答が集まった。
Q5:新型コロナウイルスが流行してから、旅行に対する意識はどのように変化したか?
※単数回答(n=1500)
コロナ禍の影響から「旅行を控えている」人は82.9%。「コロナが治まったら国内旅行に行きたい」人は83.3%で、旅行を我慢している人が多いという結果だ。
一方、「コロナが治まったら海外旅行に行きたい」人は48.2%に留まり、「しっかり感染症対策がされている国に行きたい」人が71.1%ということから、海外に対する感染症対策についての不安を抱いている人が多いこともうかがえる。
Q6:VR旅行のメリットだと思うことは?
※複数回答(n=1500)
「好きな時間に旅行できる」が51.0%で第1位となり、「天候に左右されない」50.7%、「危ないところにも行ける」43.5%と続いた。
Q7:VR旅行に行ってみたい?
※単数回答(n=1500)
「VR旅行に行ってみたい」と回答した人は54.2%と半数を超える結果。特に、VRゴーグル保有者においては80.0%と高い数値だ。VRゴーグルを保有し、体験の経験が多い人ほど、VRと旅行の相性の良さを感じているのかもしれない。
Q8:今後VR旅行が流行ると思う?
※単数回答(n=1500)
「VR旅行が流行ると思う」人は53.2%。すべての年代で50%を超える結果となった。また、60代の55.7%が最も高く、やはり、余暇の過ごし方として、ひとつの候補になる可能性がうかがえる。
Q9:VR旅行で行ってみたい国は?
※複数回答(n=1500)
最も多い回答は「アメリカ」576票で、次いで、「イタリア」532票、「フランス」452票となった。行ってみたい理由の中には下記のようなものがあり、各国のランドマークを観光したいというものも多い。
【アメリカと回答した理由】
- グランドキャニオンの奥深くをVRで体験してみたい(42歳女性)
- 何度かハワイに行ったけど、最近は行けてないから(56歳男性)
- アメリカは広いので、いろいろな地域を見たい(43歳女性)
- 好きな海外ドラマがあるので、憧れがある(48歳女性)
【イタリアと回答した理由】
- 遺跡を見てみたい(56歳男性)
- 雰囲気が好きで実際旅行した気分になれそう(66歳女性)
- 実際行くには遠いので(39歳女性)
【フランスと回答した理由】
- 一度は行ってみたいと思っていた国だが、費用などの問題もあり行っていないので(59歳女性)
- エッフェル塔を見たい(30歳男性)
- 一度行ったが、コロナが流行るころでゆっくり見られなかったから(49歳女性)
Q10:VR旅行で行ってみたい場所は?
※複数回答(n=1500)
これは「どこでもドア Tripが提供しているのツアーの中から、行ってみたいツアーを選択する」という質問。「アルプス山脈などをめぐる世界絶景ツアー」が682票を集め1位となった。ニュージーランド最高峰アオラキ/マウントクックを抱くサザンアルプスを巡るツアーで、ヘリコプターやセスナでしかアクセスできない、雪と氷河と岩の世界が広がっている。
Q11:「あったらいいな」と思うVRの旅行先は?
- 発電所や鉄道工場の中(45歳男性)
- 人が入れない世界遺産(27歳女性)
- オーロラが見れるところ(21歳女性)
- 北極、南極などの極点や宇宙ステーションのような一般人が行けないところ(46歳男性)
- 一般公開していない寺院の内部(57歳女性)
- とにかく誰もいない南国の美しい珊瑚礁の海に囲まれた島です(50歳女性)
- 一度は月に行ってみたいけど、相当努力してもいける確率はゼロに近いのでVRで体験できたらいい(29歳女性)
- 泳げないから海の中(34歳女性)
※自由回答(n=1500)
「オーロラが見れるところ」や「珊瑚礁の海に囲まれた島」などの費用が掛かる場所から、「人が入れない世界遺産」や「北極、南極などの極点や宇宙ステーションのような一般人が行けないところ」などの非現実的な場所までが挙がった。
アンケート調査結果は以上だが、非日常を体験したいという欲求こそが、VR(VR旅行)への期待となっていることがうかがえる。また、冒頭でも述べたが、これは旅行業界に限ったことではない。是非、メタバース参入のヒントにしたいところだ。