テニス全豪オープンをメタバースで観戦【ウイニングショットと連動したNFTも発売】

2022年1月17日~同30日の日程で開催されるテニス全豪オープンは、オーストラリア・メルボルンで開催されるグランドスラム*のひとつだが、この全豪オープンが、現実世界だけでなく仮想空間メタバースでも観戦することができる。また、開催を記念したNFTも発売されるとのこと。

AO Art Ball
発売されるNFTのイメージ(画像出典:AO Art Ball公式サイト

グランドスラム(テニス)
グランドスラムとは、国際テニス連盟が定めたテニス4大大会(全豪オープン・全仏オープン・ウィンブルドン・全米オープン)を指す。また、4大大会を生涯ですべて制覇することを「キャリア・グランドスラム」、1年間ですべて制覇することを「年間グランドスラム」と呼称する。

1.全豪オープンのメタバース参入

全豪オープンは、メタバースプラットフォーム「Decentraland(ディセントラランド)」と提携し、ロッド・レーバー・アリーナやグランドスラム・パークなど、メルボルン・パークの主要エリアがメタバース内に再現される。テニス観戦はもちろん、著名な建物を探索することや、テニスラケットを集めるミニゲームもできる。2022年1月17日から全豪オープン開催期間2週間にわたって公開される。

また、メルボルン・パーク周辺に設置された300台以上のカメラが捉える舞台裏の映像や、選手到着エリア、練習風景がメタバース独占コンテンツとして配信される。その他、70年代の試合映像を視聴できたり、Mark Anthony Philippoussis(マーク・アンソニー・フィリプーシス:メルボルン出身の男子プロテニス選手)と出会うこともできるとのこと。

AO metaverse
AO Meteverseの様子(画像出典:AOmetaverse Twitter
AO metaverse
AO Meteverseの様子(画像出典:AO Art Ball公式サイト

2.全豪オープンのNFT参入

全豪オープンはその開催に合わせて、テニスボールをモチーフにしたデジタルアイテム「Art Ball NFT(アート・ボール・NFT*)」を、1月13日からNFTマーケットのOpenSeaで発売した。全6,776種、各0.067ETH(約25,000円 ※1月20日時点)。
但し、公式販売(一時流通)分は発売後3分で完売し、現在販売されているものは転売(二次流通)分である。

NFT
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、「権利書付きのコピーできないデジタル資産」のこと。一般的にデジタルデータは簡単にコピーされ、いつの間にか流通してしまうものだが、NFTを活用すると、コピー(偽造)できなくなる。NFTは特定のひとつを識別する識別子を有していて、取引履歴や所有者の情報が保存され、いわゆる「1点もの」となる。ゆえに「代替ができない(非代替性)」と表現される。つまり、デジタルデータが流通しても、誰のものであるかを識別でき、権利を主張でき、資産になるという仕組み。

AO Art Ball
AO Art Ball販売ページ(画像出典:OpenSea
AO Art Ball
AO Art Ball販売ページ(画像出典:OpenSea

アートボールNFTはそれぞれ、テニスコートを6,776分割したうちの1区画に紐づいていて、開催期間中の約400試合、各ウイニングショット(最終的にポイントを取り勝利を決めた打球)の落下位置に該当した場合、ショットの映像やデジタルウェア、グッズなどを受け取れる仕組み。これが決勝戦のウイニングショットに該当した場合、特注ケースに入れられた実際のボールも手に入るとのこと。なお、落下位置は実際に試合で使われる判定システムで特定される。

すでに、公式ページから区画の紐づけをトークンIDなどで確認できるようになっている。

AO Art Ball
紐づけ区画の確認ページ(画像出典:AO Art Ball公式サイト

また、1月17日からNFTマーケットのSweetでは、全豪オープンの過去50年を記念する「AO Decades Collection」も発売している。1970年代から2020年代まで10年毎の6種で、それぞれ、記念チケット、アンパイアチェア、テニスコート、その時代に脚光を浴びたレジェンド、例えばMartina Navratilova(マルチナ・ナブラチロワ)などの試合映像が含まれる。

AO Decades Collection|Sweet
AO Decades Collection販売ページ(画像出典:Sweet
AO Decades Collection|Sweet
AO Decades Collection販売ページ(画像出典:Sweet

3.メタバースで開催する狙い

現在、オーストラリアでも新型コロナウイルスのオミクロン株感染が拡大している。渡航制限や海外から訪れる観客に対する地元住民の懸念もあるため、より多くのアクセスを集めるための施策としてメタバースでの開催が考案された。

Art Ball NFT公式のLite Paper(pdf形式)では次のようにも述べている。※Lite Paper(ライトペーパー)とは、ホワイトペーパーの簡易版。
「世界中のテニスファンは、これまでにない方法で2022年の全豪オープンに参加することができる。アートと、NFTで形作られたリアルタイムのコートデータの融合は、全豪オープンに世界各地から参加してくれるテニスファンがこれまでに体験したことのない素晴らしいものです」

また、Tennis Australia Limited(全豪オープンなどを開催する機関)の、メタバースとNFTのプロジェクトマネージャーであるRidley Plummer(リドリー・プラマー)氏は、次のように話している。

「我々はスポーツ団体であり、ビジネスとして拡大するには、ゲーム市場に参入するか、現実世界のセカンドスクリーンでより多くのものに手を出すか。そのため、6~8か月前から次のステップについて話し合っていたところ、自然とメタバースやNFTという案が浮かび、3~4か月前にこの領域に飛び込んだ。
こうしたバーチャルイベントは今後も続けられる予定。全豪オープンは、テニスを観戦するだけではなく、美味しいものを食べたり、買い物をしたり、生演奏を聴いたり、エンターテイメントの祭典のようになってきた。メタバースでもそれを再現できれば、現実世界とは違った経験ができる。今回のメタバース参入は、次へのステップである」

4.テニス業界にもメタバースやNFTの波か

多種多様の業界でメタバース参入のニュースが続いているが、テニス業界も同じだ。

今回の全豪オープンに限らず、2021年4月には大坂なおみ選手をモチーフとしたNFTトレーディングカードコレクションが発売された。全6作品のうち5作品はオークション形式で、最低落札価格は1枚52,000米ドル(約600万円)であった。

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