大日本印刷とGaudiyが業務提携【メタバースとNFTで「未来のファンサービス」作り】

東京アニメセンター|DNP

2022年1月18日、大日本印刷株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:北島義斉 以下、DNP)と、株式会社Gaudiy(ガウディ、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:石川裕也 以下、Gaudiy)が、2022年1月に業務提携することを発表した。

DNP公式ニュースリリース
Gaudiy公式ニュースリリース

DNPとGaudiyの業務提携
画像出典:DNP公式ニュースリリース

1.提携の狙い

両社は「アニメ・マンガ・ゲーム等の新しい知的財産(Intellectual Property:IP)を活かしたビジネス創出を目指す」としている。
国内外で、現実世界とバーチャルな空間を連動させた「メタバース」に関する取り組みが進む中、海賊版ではない正規IPの取引について、ブロックチェーン技術への期待が高まっている。今回の業務提携を通じて、コンテンツ業界のさらなる発展に向け、それぞれの技術やノウハウを掛け合わせ、メタバースを始めとする新たな領域での価値創出と、「未来のファンサービス」の創出を狙う考えだ。

2.DNPの強み

DNPは、「高精細な表現技術」と「大量の情報処理能力」を活かして、年齢や性別、国籍によって分け隔てられることなく、リアルとバーチャルの双方を行き来できる新しい体験と経済圏を創出する「XR*コミュニケーション事業」を展開している。
その一環として、アニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツホルダーと協業した良質なコンテンツの魅力をリアルとバーチャルの両方から発信し、コンテンツとファンや企業などをつなぐ新しいコミュニケーションモデルの創出に取り組んでいる。

東京アニメセンター|DNP
表現の拡張や良質なコンテンツ発信による新しい文化価値の創造を目指す東京アニメセンター(画像出典:DNP

XR
XR(エックスアール)とは、Cross Reality(クロスリアリティ)、または、Extended Reality(エクステンデッドリアリティ)の略語。VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)など、仮想世界と現実世界を融合させる技術の総称。

3.Gaudiyの強み

Gaudiyは、「ファンと共に、時代を進める。」をミッションとし、NFT*を始めとしたブロックチェーン関連のデジタル技術を強みとして、ファンエコノミー*の構築を推進するスタートアップ。
大手コンテンツホルダーとも協業し、漫画・アニメ・ゲーム・スポーツ・音楽などの領域で、コンテンツとファンを直接つなぐコミュニティサービスを展開している。
なお、Gaudiyでは、急速な事業拡大に伴い、ソフトウェアエンジニア、UI/UXデザイナー、プロダクトマネージャー、プロデューサーなどを中心に、ブロックチェーン技術などの先端テクノロジーに興味のある人材の採用も強化している。

NFT
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、「権利書付きのコピーできないデジタル資産」のこと。一般的にデジタルデータは簡単にコピーされ、いつの間にか流通してしまうものだが、NFTを活用すると、コピー(偽造)できなくなる。NFTは特定のひとつを識別する識別子を有していて、取引履歴や所有者の情報が保存され、いわゆる「1点もの」となる。ゆえに「代替ができない(非代替性)」と表現される。つまり、デジタルデータが流通しても、誰のものであるかを識別でき、権利を主張でき、資産になるという仕組み。

ファンエコノミー
ファンエコノミーとは、ファン主体の経済圏のこと。ファンによる応援や支援、創作も経済活動と捉え、価値を正当に評価し、どちらか一方ではなく双方向や市場も価値を還元する考え方。

4.コンテンツサービスの第一弾

両社は、NFTを活用してコンテンツの適正な流通を促進するとともに、多くのファンがさまざまなコンテンツの魅力を堪能することのできる場を提供する考え。例えば、ファンが集うバーチャルなコミュニティを構築して、好きなアイドルやキャラクターのデジタルアイテムを集めたり、推し活をするファン同士が交流できるなどの、リアルとバーチャルをつなぐ魅力的なサービスを開発していくとしている。

そのサービス第一弾として、2022年1月21日から「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」で開催される「約束のネバーランド POP UP SHOP in 東京アニメセンター」と連動し、ファンコミュニティ向けにジェネラティブアート*を活用したデジタルコンテンツが提供される。
なお、「約束のネバーランド(通称:約ネバ)」とは、週刊少年ジャンプ(集英社)にて2016年35号から2020年28号まで連載された。2021年6月時点で全世界累計発行部数は3,200万部を突破し、TVアニメ化や映画化もされている人気作である。

ジェネラティブアート
ジェネラティブアート(Generative Art)とは、意図的に偶然性を取り入れたプログラミングで生成・合成・構築される芸術作品のこと。

Gaudiyは、2021年7月に開催された体験ミュージアム「約束のネバーランド GFハウス脱獄編」にて、来場者限定のNFTトレカ(トレーディングカード)を配布するキャンペーンを提供している。オフライン会場における、QRコード読み取りによるNFTの受け取りは国内初の取り組みであったとのこと(当時)。

来場者限定NFTトレカ配布キャンペーン|約ネバ
来場者限定NFTトレカ配布するキャンペーン※現在は終了(画像出典:約ネバキャンペーンサイト

一方の、大日本印刷(DNP)は、「バーチャル秋葉原」と「神田明神社殿 高精細CG」の開発を進めている(2022年春のオープン予定)ことでも話題になっている。
メタバース参入に積極的な2社の業務提携によって、どのようなサービスが創出されていくのか非常に楽しみである。