2022年1月1日、大阪府と大阪市共同の「万博推進局」が設置され、大阪・関西万博に向けた準備が加速している。
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1.国務大臣主催の会議がVR会議に
大阪・関西万博は、2025年4月13日(日)~10月13日(月)の184日間、大阪市此花区の人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催される。150カ国と25の国際機関の参加を目指し、約2,820万人の来場者を見込んでいる。
万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、コンセプトは「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」。デジタル技術を活用し、「リアルとバーチャルを融合させた新しい国際博覧会の姿を打ち出していく」こととされている。
この「リアルとバーチャルの融合」を実現するために、「第2回 大阪・関西万博関係府省庁連絡会議」はVRを活用したものになった。まずは、関係府省庁連絡会議を「実験場」にしようという背景だ。国務大臣主催の会議としては初となるVR会議とのこと。
VR会議を実施した万博事務局の担当者は次のように話している。
「リアルとバーチャルを融合させた新しい万博を目指す中で、正直なところ事務局としても『具体的に何をバーチャルで実現していくか』の共通認識を持てていなかったのですが、今回のVR会議を通してイメージを深めることができました。
出典:NEUTRANS導入事例
また、連絡会議の参加者は大半が東京に在籍しており、実際の夢洲に行ったことがない人がほとんどだったので、現在の夢洲と未来の夢洲それぞれをバーチャル空間上で体感したことで、同じ理想を描いて一体感を持って準備を進められているように思います。
そして、霞が関において、国務大臣主催の会議をVRを用いて開催した、という前例を作れたことは大きいと感じています。今回のこの取組みが、各省庁においてVRを用いて何かをする際のきっかけになれば、こんなにも嬉しいことはありません。」
2.「バーチャル大阪」の概要
「バーチャル大阪」の概要は、「万博開催に先がけ、大阪の都市魅力を国内外に発信し、万博への期待感を高めるとともに、“City of Emergence”(創発する都市)をテーマに、様々な人が集まり、一人ひとりの新たな体験や表現を通じ、大阪の新たな文化の創出・コミュニティの形成にも寄与するため構築する都市連動型メタバース」とされている。
バーチャル大阪公式サイト
https://www.virtualosaka.jp/
※公式サイトから「バーチャル大阪」に入場するためには「cluster」アプリのダウンロードと、アカウント作成が必要(いずれも無料)。
仮想空間「メタバース」に大阪をモデルにした都市を設け、参加者(入場者)はアバター*を使って交流する。新型コロナウイルス禍で注目される「バーチャル万博」に先行して仮想空間で大阪の魅力を発信し、集客につなげる狙い。2021年12月16日に一般公開され、同19日には「バーチャル大阪」内のイベント会場で、朝日放送テレビ「M-1グランプリ2021」の敗者復活戦と決勝戦を放映するなどしている。
アバター
アバター、アヴァター (avatar) は、ゲームや仮想空間内での自分自身の分身。外見や服装、性別などを自分で設定でき、他のアバターと会話をしたり物を交換したりできる。サンスクリット語「avataara」が英語「avatar」となり、「化身」という意味を持つ。
2022年1月4日、万博推進局の発足式終了後、吉村洋文大阪府知事は「バーチャル空間は距離や広さの制約がなくなる。非常にポテンシャルが高い」、「大阪の先進技術を結集し、世界に披露する」と語り、松井一郎大阪市長も「窓口を一元化することで、熱意ある大阪の中小企業の皆さんがスムーズに万博に参加できる体制を整えた」と意気込みを語っている。
また、松井大阪市長は、大阪市公式サイトの年頭挨拶でも「バーチャル大阪」に触れ、「万博開催に先がけインターネット上に開設した、都市連動型メタバース『バーチャル大阪』を通じて、大阪の多彩な魅力をしっかりと国内外に発信するなど、機運醸成にも尽力してまいりますので、万博の成功に向けて、皆さま、一緒に盛り上げていきましょう」と、市民や企業に強く呼び掛けた。
現状の「バーチャル大阪」では、エントランスにそびえ立つ「太陽の塔」を眺めるくらいしかできないが、新たな体験やコンテンツを創出していくため、公式Twitterなどで広くアイデアを募集している。本格オープンは2022年2月、以降順次エリアが拡大され、同4月以降は民間企業に運営委託の予定。