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2022年1月10日、米Microsoft(以下、マイクロソフト)のAR(Augmented Reality:拡張現実)チームから過去1年で100人ほどの人材が流出していることが、マイクロソフトの元社員の話や、ビジネス特化型SNS「LinkedIn」に掲載されたプロフィール情報から明らかになった。
1.ヘッドハンティングという人材争奪戦
米テック企業が競合他社から人材を引き抜くことは珍しくないが、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば「Meta(旧称:Facebook)*のような大手が急成長しようとするときは、引き抜きの規模とスピードが際立つ。これにより報酬水準が上昇し、中小企業は太刀打ちできなくなる」とのこと。
Meta(メタ)
Meta Platforms, Inc.(メタ・プラットフォームズ)。CEOはMark Elliot Zuckerberg(マーク・エリオット・ザッカーバーグ)。2021年10月29日、Facebook, Inc.(フェイスブック)から社名変更。新しいインターネットの姿である「メタバース」に注力する姿勢、メタバース・ファーストなソーシャルテクノロジー企業であることを示す名称。友達や家族とつながり、コミュニティを探し、ビジネスを成長させることができる、さまざまなテクノロジーを開発している。
2.「HoloLens」技術者には2倍の給与提示も
マイクロソフトは、MR(Mixed Reality:複合現実)デバイスの「HoloLens」を開発・販売している。米テック企業の多くがこの技術に注目し、関連ハードウェアやソフトウェアの開発を急ぐ中、市場にいち早く参入したマイクロソフトの「HoloLens」技術者がヘッドハンティングの標的になっている。マイクロソフトの元社員によると、「HoloLens」開発に携わった一部のベテラン技術者には2倍の給与が提示されることもあったという。
ビジネス特化型SNS「LinkedIn」に掲載されたプロフィール情報によると、過去1年でマイクロソフトを去った「HoloLens」チームのメンバーは70人以上。そのうち約40人がMeta(旧称:Facebook)に移籍したという。
マイクロソフトで長年、顧客フィードバックチームを率いてきたある人物は2021年夏にMeta(旧称:Facebook)に移籍した。「HoloLens」のディスプレイ技術に携わっていたもう1人の人物は数か月前に同社ディスプレイ関連部門のディレクターに抜てきされた。
渦中のマイクロソフトは詳細を明らかにしていないが、「社員の自然減は多くのチームが常に直面する課題であり、社員維持のためにできる限りのことを行い、必要に応じて新規採用も行っている」と述べたという。
3.ますます加熱する人材争奪戦
言わずと知れた多国籍テクノロジー企業であるApple Inc.(アップル)も人材争奪戦の標的となってきた。
- シリコンの設計や開発の責任者を務めていたJeff Wilcox氏が、Intelに移籍。
- 半導体設計に携わっていたMike Filippo氏が、Microsoftに移籍。
- 通称「Apple Car」の主要エンジニアらが、eVTOL(空飛ぶ車)の実用化を目指すJoby Aviationや、Archer Aviationなどに移籍。
- Aシリーズチップの主要設計者であったGerard Williams III(2019年退職)が設立した会社がQualcommに買収。
海外の慣習では、ヘッドハンティングは事業成長の戦術であり、移籍者にとっても正当な権利であり、非難されるようなものではない。しかし、メタバースに注目が集まる中、人材争奪戦はますます過熱する様子を呈している。