2022年1月15日、オンライン動画配信サービス大手の米hulu(本社:アメリカ)は、ビジネス特化型SNS「Linkedin(リンクトイン)内の米hulu公式ページ 」でメタバースや暗号資産、NFTに関する求人を開始した。また、米hulu公式サイトには2021年11月8日から同求人が掲載されていた。
このページでは、同求人内容を和訳しながら解説する。
なお、米huluは、The Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー・カンパニー 通称:ディズニー)の子会社であり、今回の職種はDisney Streaming Services LLC(ディズニー・ストリーミング・サービス)に属する。
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1.hulu求人の概要
huluのマーケティングチームは、チームに特別に加わり、huluブランドとしてストリーミング以外の領域(すなわち、音楽、ゲーム、NFT、暗号資産、メタバースなど)に参入する戦略に特化するCulture Marketing Managerを募集している。
Marketing Managerは新しい分野と、明日のストリーマーや、これまでとは違う方法でコンテンツを消費している若い視聴者にhuluを届けられる分野に焦点を当てる。文化全体のトレンドに関するブランド及びLive & Licensed Marketing Teamが対象とする分野の専門家であり、huluがブランド、ソーシャル、コンテンツなどを活用し成功する方法を考案しなければならい。
また、Pride指標*やEarth Day*を含むhuluが継続している取り組みに貢献し、これらを年間を通じてどのようにコミットできるかを考える。
Pride
Pride(Pride指標)とは、任意団体「work with Pride」が2016年以策定した、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークィア)などのセクシュアル・マイノリティへの取組みの評価指標。評価項目には「会社としてLGBTQ等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネット等で社内外に広く公開しているか」などが含まれる。なお、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社は、「PRIDE指標2021」にてゴールドに認定されている。
Earth Day
Earth Dayとは、地球環境について考える日として提案された記念日。毎年4月22日。ディズニーはディズニー公式サイトにアースデイ特集ページを開設するなどして地球環境への意識向上につながる機会を提供している。
この職種は、Huluのブランド、huluのコンテンツマーケティングチーム、ディズニーの中で特別な計画を持ったチーム、Huluのブランドと消費者向けサービスが最もよく表現され差別化されていると証明するためのパートナーらと協力していく。
もしHuluのブランドを将来的に立ち上げたいと思っていて、文化の進化とともに動くことができるなら素晴らしい役割だ。
2.hulu求人の業務内容
業務内容としていくつかが例示されている。
- 新興産業(例えば、ゲーム、NFT、ファッション、音楽など)全体におけるトレンドと潜在的なマーケティングのリサーチ、評価、情報共有。
- 本件の専門家として、文化の進化に乗り、より若い視聴者にコンテンツを確実に届けるためにhuluブランドを活用するという責任を果たす。
- huluのコンテンツとブランドキャンペーンを支援するメディア主導の機会や優先順位についての提案と実行。
- 社内外のパートナーと協力したブランドキャンペーンの主導、開発、推進。
- Pride、Earth Day、その他の重要な文化主導期間の推進。
- すべてのブランド主導プロジェクトに関するデザイン、開発、実装において、オンチャネルとオフチャネルの両方でブランドビジョンの一貫性を確保するためのリーダーシップとサポートを提供する。
- キャンペーンを追跡や最適化できる測定基準や他のデータで市場動向を調査する。
- 社内外のブランドマーケティングや広告キャンペーンプログラム(クリエイティブ、メディアなど)の承認を監査する。
3.hulu求人の応募条件
- 主要な消費者向けブランドまたはブランド代理店でのブランドキャンペーンマネージメント関連の経験(5~8年)
- トレンドスポッティングの経験があることが望ましいが、必須ではない
- データ分析と過去の専門知識に基づいた迅速に判断し成功する能力
- 生産管理の経験だけでなく、優れた企画力とブランド管理能力
- チームで非常にうまく機能し、多様な支援者と提携する能力
- 進化するメディア環境に関する熟練した理解
- Googleスライド、ドキュメント、スプレッドシートの習熟。「メタバースのような新しいテクノロジープラットフォーム」「暗号資産とNFT」の両方、またはいずれかに関する知識と情熱があれば尚可
4.親会社のディズニーもメタバースに参入
huluの親会社であるディズニーは先行してメタバースへの参入を発表している。
2021年11月、Disney+のリリース記念として、NFTのデジタルコレクション「Golden Moments(ゴールデン・モーメントツ)」を発表。NFTマーケット「VeVe(ヴェヴェ)」で、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズのキャラクター販売した。
同月、同社決算発表でBob Chapek(ボブ・チャペック)CEOは、「これまでの取り組みは、物理的な世界とデジタルの世界をさらに緊密に結び付けることができる時代への序章にすぎない」と述べ、CNBCのインタビューには「メタバースのプラットフォームとしてDisney+を使う」と応じている。
さらに、2021年12月、ディズニーテーマパークにヘッドセットのないAR(拡張現実)アトラクションを制作するための特許技術「virtual-world simulator(仮想世界シミュレーター)」が米国特許商標庁に承認された。現実世界と3Dのイメージが連動するもので、ユーザーの動作に応じて、3D効果が近くの空間や壁に投影される仕組みのようだ。同社はすぐに稼働するものではないとしているものの、メタバースにディズニーテーマパークが開園する日も近いかもしれない。