パソナがメタバースに本格参入【淡路アバターセンターから人材雇用創出を目指す】

淡路アバターセンターの研修風景

人材サービス大手の株式会社パソナグループが、メタバース関連の事業に本格参入する。

1.パソナがメタバース関連事業に本格参入

2022年1月7日、同社の南部靖之代表が産経新聞のインタビューに応じ、「今春にもメタバース空間を作り、最終的には100程度の〝街〟のような場を提供。仮想空間で職業体験をしたり、地方と世界を仮想空間で結び付けて、地方創生につなげるような取り組みなどを進める」と考えを示した。

また、毎日新聞のインタビューでは、メタバースについて「老若男女が平等な空間で格差がない。年齢や障害の有無などに関係なく、いろいろな人が働きやすく、新しい雇用手段を創出できる」と話している。

パソナグループ南部靖之代表
今後の展望について話すパソナグループの南部靖之代表(画像出典:産経新聞

2.本社機能の一部を淡路島に移転

パソナグループは、働く人々の‟真に豊かな生き方・働き方”の実現を目指し、「Smart Life Initiative(スマート ライフ イニシアティブ)」を掲げ、グループ全体のBCP(事業継続計画)対策の一環として、2020年9月から本社機能の分散と淡路島への移転を段階的に開始している。
働く人々においても、リモートワークをはじめとする多様な働き方の実現や、新しい生活様式に対応する豊かな生き方が求められているとして、グループ全体の本社機能社員 約1800名のうち、約1200名が2023年度末までに淡路島に異動する予定。就職氷河期世代やシニア世代、ひとり親家庭の人などへの雇用の門戸を広げる狙いもある。

毎朝新聞のインタビューでは、淡路島への移転について「メタバース上で営業もできるし、副業もできる。淡路島での生活をバーチャルに体験してもらい、移住につなげることもできる」と話し、ベンチャー企業やアーティストなども誘致し、地域の雇用創出や文化振興の支援も手がけているため、こうした事業との相乗効果も狙う構えを見せた。

淡路島のパソナグループの主な施設
淡路島のパソナグループの主な施設(画像出典:神戸新聞NEXT

3.「淡路アバターセンター」の開設

本社機能の移転にあわせて、2021年11月17日(水)、兵庫県淡路市に「淡路アバターセンター」を開設している。

アバター
アバター、アヴァター (avatar) は、ゲームや仮想空間内での自分自身の分身。外見や服装、性別などを自分で設定でき、他のアバターと会話をしたり物を交換したりできる。サンスクリット語「avataara」が英語「avatar」となり、「化身」という意味を持つ。

淡路アバターセンター
画像出典:パソナグループニュースリリース

同社は、AVITA株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO 石黒浩)と協業し、「アバター人材雇用創出プロジェクト」を推進していて、「アバターを活用した就業機会の拡大は、全く新しい領域での雇用創出や、デジタル空間を前提とした新しい雇用のあり方が期待されている」としている。

「淡路アバターセンター」では、アバターを操作するオペレーター人材の育成のほか、アバター人材による対人接客業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを展開していく。
BPOの第一弾として、2021年11月23日~同12月12日、大阪道頓堀・戎橋のポップアップストアにおいて、現地のサイネージに表示されるアバターを淡路アバターセンターから遠隔操作した接客販売の効果検証も実施した。

淡路アバターセンターの研修風景
淡路アバターセンターの研修で画面上のアバターを操作する社員ら(画像出典:ひょうご経済プラス
淡路アバターセンターのポップアップストア
アバターが接客しクラフトコーラを販売。淡路島のスタッフがリモートで操作するアバターが接客を行っている(画像出典:産経新聞