メタバースクリニックが開院【医師の専門性とゆるいつながりでヘルスケア】

株式会社comatsuna(本社:東京都渋谷区、代表取締役:吉岡鉱平 以下、comatsuna)は、メタバースでの、医師によるお悩み相談、自助グループ、座談会などを提供する「メタバースクリニック」を開院した。

メタバースクリニック|comatsuna
画像出典:メタバースクリニック

1.メタバースクリニックとは?

comatsuna代表取締役、兼、メタバースクリニック発起人の吉岡氏は現役の精神科医であり、日々の対応の中で違和感を持つようになったという。

  • これで患者さんは本当に楽になるんだろうか?
  • 精神科に来ないまま、人知れず困っている人もいるんじゃないか?
  • 育児でメンタル不調になっているものの、どこにも出かけられず相談できないお母さんがたくさんいるんじゃないか?
  • 隠れ育児うつの人も多いんじゃないか?

このような違和感と向き合い、「精神科医の知見を活かしたサービスを開発して、世の中に届けよう」と考え抜き、辿り着いたのが、仮想クリニック「メタバースクリニック」だ。メタバースクリニックでは、メタバースにアバターとして参加し、医師が主催するサービス(悩み相談、自助グループ、座談会など)に、匿名・無料で参加することができる。

なお、メタバースプラットフォームは「VR CHAT」を利用している。VRデバイス(ヘッドセットなど)を利用すれば360度の臨場感ある空間で体験できるが、VRを利用せずパソコンから参加することもできる。

メタバースクリニック|comatsuna
VRヘッドセット(画像出典:吉岡氏のnote

2.メタバースクリニックのメリット

吉岡氏は自身のnote(精神科医の僕がネットの「仮想クリニック」を作った理由)で次のメリットを挙げている。

  • 自分の顔や名前を出さずに悩みを打ち明けて相談することができる。
  • わざわざ病院を探して、つらいなか足を運ぶ必要がない。
  • 無料で利用できるため、いくら通ってもお金がかからない。
  • 精神科を受診したり、カウンセリングを受けたりするよりもラフに参加できる。

なお、メタバースクリニックは「クリニック」という名称だが、コミュニケーションの場を提供する「ヘルスケアコミュニティサービス」であり、医療行為を行う場ではない。

3.メタバースで始まる新しい「つながり」の創出

メタバースクリニック|comatsuna
画像出典:メタバースクリニック

社名であるcomatsunaの由来は「人や社会のコマったをツナぐ」である。メタバースクリニック着想の背景には、前述のメリット以外にも強い想いがある。
吉岡氏は、「医師は患者を診察し、症状に合わせて薬を処方したり、状況に応じてアドバイスしたりできるが、医師がどれだけ患者さんに寄り添おうとも、実際に同じような状況を経験した人の言葉には到底敵わない」と言う。

WHOは、2030年にはうつ病が疾病負荷で世界第1位になると発表していて、世界的なメンタル不調への解決が急務となっている。また、コロナウイルス感染症の拡大がそれに追い討ちをかけていることも言うまでもない。

吉岡氏は「つながり」の大切さについて、こうも話している。
「悩み苦しんでいるとき、同じ立場で感情を共有できる人とのつながりは、『こんなに辛くて大変なのは自分だけじゃないんだ』、『自分だけが全てを背負い込む必要はないんだ』、『同じ悩みに共感してくれる仲間がいるんだ』と感じさせてくれ、心の支えになる。人が困難な状況や絶望的な状況にあっても希望を持ち、それでも前を見て進むために有効なソリューションは、治療薬や医療機器だけではなく、『孤独の解消』や『つながり』にある」

こうした想いから、ヘルスケアとしての「つながり」の持つ力をテクノロジーで最大化すべく、メタバースの可能性に着目し、メタバースクリニックの開院となった。

4.メタバースクリニックが提供しているサービス

悩み相談

匿名・無料で、医師による健康医療相談、雑談、人生相談など、テーマや内容を問わず、マンツーマンで対話ができるサービス。完全予約制、1回あたり20分が目安。
※健康医療相談とは一般的な医学的情報の提供やアドバイスを指し、診断や診察などの医療行為は含まれない。
メタバースクリニック 悩み相談の詳細(公式)

お悩み相談~睡眠のお悩み~

自助グループ

自助グループとは、なんらかの障害、困難、悩みを抱えた人たちが、同様の問題を抱えている他者と共に当事者同士の自発的なつながりで結びついた集団を指す。受容的な雰囲気の中で意識変容や行動変容が自発的に促される効果や心理的負担を軽減する効果があるとされている。
メタバースクリニック 自助グループの詳細(公式)

吉岡氏が自助グループを開催する理由を説明している動画

座談会

ユーザー同士で健康や医療にまつわる様々なテーマに関して気軽に語り合い、ざっくばらんにコミュニケーションができるサービス。
毎回、「ADHD」、「ひきこもり」などのテーマを決めて開催されるため、興味のあるテーマの回に参加することができる。アバター同士でマイクを使って音声で悩みを共有することで、実際に会話しているような感覚でコミュニケーションが取れる。基本的には吉岡氏も参加しているため、アドバイスを受けることもできる。また、テーマによっては有識者をゲストとして招くこともある。
メタバースクリニック 座談会の詳細(公式)

座談会~職場のストレス~後編

5.メタバースクリニックの今後

現役医師が主導するヘルスケアにおけるメタバースの可能性に着目したサービスの発展を目指していく。また、ヘルスケアの視点から、すでにいくつかの新たなアイデアにも着手し、サービス化が予定されているとのこと。

なお、メタバースクリニックのキャッシュポイントは、スポンサー収入を想定している。スポンサーはイベント空間内に広告を掲載することができ、それらがユーザーの目に触れるのみならず、イベントの一部をコンテンツとして配信することで広告価値を高める仕組みだ。
メタバースクリニック スポンサー募集の詳細(公式)

メタバースクリニック広告|comatsuna
広告掲載イメージ(画像出典:メタバースクリニック
メタバースクリニック広告|comatsuna
広告掲載イメージ(画像出典:メタバースクリニック

また、「メタバース・プラクティショナー(MVP)」も募集している。メタバース・プラクティショナーとは、comatsunaの独自呼称で、「何らかのスキルや資格を有し、メタバース上でアバターとして教育的なコンテンツ配信や対面型サービスを提供する者」のことを指す。
メタバース・プラクティショナーの育成や活動支援により、メタバースでスキルや資格を活かし収益化できる世界の実現にも力を入れていくとのことだ。特に、医療系、心理系、カウンセリング、コーチングなどの資格保有者の募集に注力している。
メタバースクリニック メタバース・プラクテ募集の詳細(公式)

メタバースクリニック|comatsuna
画像出典:メタバースクリニック

現状、メタバースと言えば、ゲームやエンターテイメント、イベント業界からの参入が中心となっている。しかし、他業界においても、メタバースを活用して社会貢献や収益化のコンテンツを作ることができる、ひとつの事例と言えるだろう。
また、「メタバース・プラクティショナー」という、メタバースで活動するアバターに専門性を持たせるという発想は、玉石混交のメタバース事情に一石を投じたと言えるかもしれない。

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